Digital Cinema CameraのIR (Infer Red)

赤外線による影響

作成日:2009年5月9日


映画用フィルムはタングステンとデーライト用があるが赤外領域には感度が無く特殊撮影用で赤外線用のフィルムがある。

フィルムの分光特性

フィルムの分光特性


一方CCDやCMOSのフォトセンサーは600nm付近に感度の山があり1000nm付近までの近赤外療域にも感度を持っている。この近赤外の感度を利用して民生機のハンディーカメラではナイトモード(赤外モード)が設けられている。

CCDの分光特性 3色分光特性
CCDの分光特性と3色分光特性


色相 UV

(長波)
IR

(短波)
波長(nm) 380〜430 430〜460 460〜500 500〜570 570〜590 590〜610 610〜780

参考: 人が色として認知できる可視光の範囲は380nm〜780nm


色再現に対する影響

長波長(赤)領域は肌色等の比較的シビアーな領域に影響がでる。また被写体、特に黒でも赤外線の反射率が高い化学繊維の黒い服が見た目より赤みがかってしまう。逆に切りすぎると茶系が微妙に混ざったダークスーツなどの色が出なくなってしまう。赤外カット特性はカメラ設計上分光光学系と同等の重要な特性になっている。

IRフィルター特性
IRフィルター特性


PLマウントデジタルシネマカメラの問題点

PLマウントのフランジバック(レンズマウント面からフィルム結像面までの距離)は52mmあるが、実際のPLマウントレンズはバックフォーカス(レンズの後玉からフィルム面までの距離)が短くフランジ面から出っ張りが多いレンズが多く結像面までのスペースが取れない。
2⁄3インチフォーマットを採用しているF23はフランジバック48mmであるがB4マウントのレンズでは後玉の吐出量が制限されておりフィルターと分光光学系で45mmのスペースが確保されている。そのため2組のフィルターディスクが内蔵されて2層5枚組フィルターが装着できる。
ここでRED ONEやF35、D21等のセンサーは個体撮像デバイスでは必ず必要なオプチカルローパスフィルターと赤外カットフィルターは内蔵されているが、前述のスペースの関係で感度調整や色温度の調整などはフィルムと同じ外付けのマットボックスに装着するフィルターワークで行うことになる。


NDフィルターの問題点

ND(Neutral Density)フィルターは名前のとおり均一に色バランスを保ったまま減光するフィルターである。しかし製品レベルではバランスが崩れるのが一般的である。特に昨今の高感度化によって濃い濃度ものが必要となり誤差が大きくなって問題となっている。この対応として内蔵フィルターのカメラでは誤差を補正するテーブルが内蔵されており、内蔵フィルターの選択ではホワイトバランスは変化しない。またビデオカメラやF23では赤外カットフィルターが一番前に装着されており、フィルターも内蔵タイプは小型なため近赤外領域の減衰も考慮されているので問題は少ない。
通常の製品化されているNDフィルターはメーカーや濃度や個々によってばらつきがあるのが通常である。現在問題になっている近赤外の影響は、赤外領域に感度がないフィルム用などの赤外領域までのNDフィルター特性が考慮されていない場合、光源に含まれる近赤外線の影響によって見た目との差が出てくる可能性がある。

対応フィルター: この問題に対応したフィルターが製品化されている。RED サイトのテストでも色再現が変わっている事が確認できる。


撮影上の注意

この問題は光源に含まれる近赤外線の量によって影響される。また被写体の赤外線反射率も大きく影響する。特に見た目では黒の部分が赤くなったりするのでDIでは部分的なマスク処理でカラコレが必要となる。一般的に化学繊維が受けやすいので、黒系のドレスやヘアピースに注意が必要である。通常のグレースケールは、ほとんど赤外反射が無いので事前チェックでは判断がつかない可能性が大きい。また赤外カットフィルターやIR対応のNDフィルターでも色再現に影響を与える長波長側の減衰特性を変えてしまう可能性があるので光源を含めた事前の検証が必要になる。また部分的に使用した照明の発熱量(赤外線)が多いとDIのカラコレも部分的に行う事になる。


文責: 宮田 宏美 (賛助会員)


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